なにがついたのやろ
小橋 9まだこの漁村には十一
軒 しか家がなかった昔のお話。
ある年、不幸 が起きて、ある家の男一人をのこして、みんな死んでしまっそうな。男は死んでしまった家族 の仏 のくように、白い巡礼姿 に身をかためて四国八十八ケ所のおまいりに出かけることにしたんや。男は三浜峠 の上から見おろした、沖 には老人島 がハッキリ見えた。かなしい思い出のある、あの村にはもう二度と帰るまいとけっしんして、家も田畑もぎょせんもみんな売りはらって、首にかけていた、手ぬぐいで流れでる涙をふき、両手をあわせて、村にさよならをして、身を引さかれる思いで峠を悲しみいっぱいに足を引きづりつつ、こえていったそうな。
村を出ていった男のことを村人はすっかりわすれてしまいました。男が村を、はなれて何十年たったやろうか、その男の家には、べつの人が住んでいました。ある日の夕ぐれ近く、かみの毛が真っ白でふさふさした、よぼよぼの老人が、この村にやって来て、「キョロ、キョロ」しながら歩いておった。この老人は前に、不幸があった家の前に立ちどまり、そのあたりを、うろうろしていたんや。つぶやくように家をみつめて「この家は私の家やったのに。」家の中から楽しい声が、聞こえてくるのをうらめしそうに見て、「しかたがないちゃ」とポッリ言うと、どこへともなく行ってしもうた。ところがその後、じいさんの、のぞいたこの家にいろいろなことがおこっんや。かわいい元気だった子が原因 がわからず死んでしまもうた。家の人たちはきみがわるく、お坊さんに、おがんでもろうたそうや。
お坊さんは「こりゃ、あのじいさんのたたりにちがいない、じいさんはどこぞでなくなって、この家のまわりで れいが、さまよっている。」お坊さんは浜辺にいって、白い丸い石をひろってきて、じいさまのれいを、ふうじこんでしまったと、そしてほこらを作って、その石をいれ、そばに、さかきをうえたんだって。それからはその家の、不幸なことは、おこらなんようになった。その後、このほこらや、さかきは、村の大火事(1750年)でなくなってしまっそうな。ふうじこんだ白い石は焼けのこって、小橋にまつってあるんだって。
BC8000年 三浜アンジャ島・石斧出土 AD 200年 古墳時代横穴式古墳
天然記念物 オオミズナギシドリの繁殖地 冠島 天然記念物 三浜海蔵寺のシイ林
シイ林
参考資料 舞鶴の文化財